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ポタリング

Author:ポタリング
少し古い70年代頃のロック中心のブログです。
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ラジ 『キャトル』 Quatre

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ラジ『キャトル』 1979年リリース
プロデュース:高橋ユキヒロ
サウンドプロデュース:坂本龍一

なつかしいアルバム。
79年というとYMOが『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』で大フィーバー、加藤和彦は名盤『パパ・ヘミングウェイ』でキメた年。なのでその流れでラジも。レコードは持っていませんでしたが、TDKかマクセルのカセットテープに録って聴いていました。
『キャトル』はラジの三作目でJポップの名作と囁かれながらも待てど暮らせどCD化されず、やっとこさのCDリリースが2014年のこと。なんとその間、太陽の回りをくるくる35周もまわっていたのでした。

全10曲。当時の最先端は流行りの「テクノ歌謡」、そこにユキヒロのヨーロッパ趣味をブレンド。
楽曲提供は、YMOの御三方、安井かずみ、加藤和彦、矢野顕子、大貫妙子、高橋信之、南佳孝、伊達歩(伊集院静)と夢のような豪華さ。
アルバムからのシングルカットは、矢野坂本ペアによる「わたしはすてき」。この曲はけっこう人気あったみたいですね。アルバムのラストにはサディスティックスの「キリンがいる風景」をもってくる洒落た演出も。

季節柄、クリスマスなことも。
アルバム後半に「ケン&メリーのスカイライン、愛と風のように」の作者としても知られる高橋信之さんが書いた「クリスマス」という曲があります。
ここで聴こえるクリスマスは「♪いつのまにかクリスマスは私から消えてしまい、日付だけになる」という、美しいメロディーながらとてもセンチメンタルで後ろ向きな一人ぽっちのクリスマス。毎年きまって流れてくる達郎やユーミンの定番ソングの対極にありますが、それでもこれはクリスマスソングの隠れた佳曲と思います。

デヴィッド・バーン『アメリカン・ユートピア』

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デヴィッド・バーン『アメリカン・ユートピア』2018年リリース

YouTubeで先日から最近のバーンのユニークなライブをいろいろと観ていました。
今年66歳、白髪のバーン。さすがにいい歳になったなあと思いながらも曲が進むに連れて若返ってくる感じ。ヘッズ時代のナンバーは今も人気が高いようで、当時の奇妙なダンスを披露しながら相変わらずやってくれてる。

『アメリカン・ユートピア』は春頃リリースされた最新作。近年は新鋭ミュージシャンとコラボ作をちょこちょこ出していたので久しぶりという印象はありませんが、純粋なソロでは『グロウン・バックワーズ』以来の14年ぶり。
全米アルバムチャート(ビルボード)ではほとんど目立たないアーティストですが、今回はなんとキャリア最高の3位に躍り出るという快挙も。

全10曲(内8曲はイーノと共作)。コンパクトに全曲4分前後にまとめたのがいい。
いつものことながら今回もエキセントリックで風変り。でも印象としては自然体のバーンを感じるアルバムで、その無理のない立ち位置が聴きやすさにもなってる感じです。
アルバムタイトルの『アメリカン・ユートピア』は、ユートピアとはかけ離れたアメリカの今を皮肉ったということでもなく、アメリカが抱える様々な問題を背景にした曲が多いみたいです。
銃規制を取り上げた曲(Bullet)もあり、これもかなり独特の視点。それでも暗くなり過ぎず適度にポップ。

何度もリピートしていたこともあって、今年リリースされた音楽全般の中でも最もよく聴いたアルバムになりました。

葡萄畑 『葡萄畑』

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葡萄畑 『葡萄畑』 1974年リリース
ジャケット:矢吹申彦

風の便りで平成も最終コーナーを回ったらしいと聞いておりますが、昭和に戻ってしまうような44年前の葡萄畑のファーストなど聴いています。

一般に葡萄畑というと英国モダンポップ系の楽曲を強引に引用して、やりたいことは全部やっちゃった感のあるセカンド『スローモーション』が有名ですが、このファーストは音楽性はそれとはまったく別物でありながら、こっちはこっちで捨てがたく、必聴の名盤というほど大袈裟なものではありませんが、70年代日本のロックの中でも隠れた良作のひとつと思います。

♪土のにおいのする田舎へ行こうよ~、そんな黄昏の歌ではじまる10曲。
全般にフォーク・カントリー色の強いアルバムで、夕日に向って走る少年たちのシルエットみたいな曲が並んでます。
押しつけがましい疲れる曲はひとつも無く、日常をスケッチしたような曲ばかり。とてもリラックスして今でも気分よく聴けるアルバムです。
演奏はザ・バンドやライ・クーダー風だったりで、それ系が好きな方はアレコレ楽しめます。この頃は小坂忠さんのバックバンドもしてたそう。

同時代のはっぴいえんど、はちみつぱい、夕焼け楽団あたりの名盤群の中ではいつも埋もれてしまいがちですが、サウンドはとても似ています。マンドリンやアコーディオンなど当時のバンドがあまり使わない音色も。
「ぶどう」を漢字で書けるようになったのは葡萄畑がいたからでした。

細野晴臣 『銀河鉄道の夜』

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細野晴臣『銀河鉄道の夜』 1985年リリース

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』のアニメ映画のサントラ盤。
今、手元にあるのは音源データだけで詳しいことはよくわかりませんが、『銀河鉄道の夜』は多くの細野ファンが推すサントラの傑作。
タイタニック号に関する運命的な巡り合わせも話題に。

ストーリーはご存知のとおりで、アニメ版のジョバンニらは猫に姿を変えて描かれていました。声優としても登場する常田富士男さんがエンドロールで賢治の詩を詠みます。常田さん、とても好きな俳優でした。
アニメ自体とても丁寧に作られた作品ですが、細野さんの音楽が抜群の効果を上げてます。

このサントラ盤はさそり座の見える夏の夜空がお似合いかもしれませんが、秋冬の星空の中でもなかなかイケます。
明るく楽しい曲は特にないのですが、かといって暗くもなく、イメージ膨らむBGMとして聴くのもいいです。

人気は今も衰えないようで、この12月に未発表音源等を追加した2枚組の特別版がリリースされるそう。こちらも気になるところです。
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イノヤマランド 「DANZINDAN-POJIDON」

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イノヤマランド 「DANZINDAN-POJIDON」1983年リリース
メンバー(全作曲):井上誠、山下康

80年代からアンビエントをやってるユニット、イノヤマランドの35年前のファースト「ダンジンダン・ポジドン」が、この夏に再発された。
プロデュースはYMOではやることやっちゃった頃の細野さん。

アンビエントな電子音に和みのあるメロディーとニューウェーブをミックス。ジャケットのイメージそのまま、天気図がゆっくりと移動するような、高い空を遊泳してるような透明感ある音世界。今の時代ならドローンで撮影した大自然のBGMにもピッタリ。

イノヤマランドは本格的なヒーリングミュージックもやってますが、このデビュー作はそれほど眠気を誘うものではなく、景色や季節が移り変わるように、さまざまな風景を想像できる10曲。
ちょっとだけイーノを意識したような曲も。

最近は日本より海外で人気が高まってるようで、80年代のはじめにこんなことをやっていた、ということがとてもユニーク。人工衛星みたいに地球をぐるぐる廻って、いま聴いても古さは感じません。
細野さんのアイデアで水を張った水槽にマイクを仕込んで録音したりと、アナログな実験も盛り込まれているそう。

ミヒャエル・ローター 『クロニクル 1』

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ミヒャエル・ローター『クロニクル 1』 1998年編集盤。

ローターは、80年代のニューウェーブに絶大な影響を与えたジャーマンロックバンド「ノイ!」のギター、キーボーディスト。それ以前には初期のクラフトワークのサブメンバーだったこともあるそう。
70年代からソロアルバムは何枚も出てますが、そこいらのCDショップではなかなかお目にかかれない。ネットではけっこうな高値が付いているものも(YouTubeにはいろいろとアップされてます)。

このアルバムは77年~87年までのベスト盤で(ローターのベストなんて代物が存在することも信じ難いのですが)、主だった曲は収録されてるみたいです。
全12曲70分のオールインスト。基本はシンプルな反復ビートにアンビエントを導入したエレクトロミュージック。クラフトワークもそうですが、機械的でありながら実はすごく人間くさいところが魅力です。

一度聴いたら脳裏に刷り込まれてゆくような、聴き流せるようで流せない、眠くなりそうでならない、此処ではない何処かに連れて行ってくれるような浮遊感のある曲が並んでます。夜空を眺める旅人たちみたいな曲が多いけど、くり返し聴くとどの曲にもストレンジな感覚が宿っています。

ハンマービートの本家「ノイ!」に比べ、ずっと軽く楽に聴ける。
初期の作品群はヤキ・リーベツァイト、コニー・プランクが参加。
いつ聴いても古くなく新しくもない、秋の夜長に似合う不思議盤です。

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ミヒャエル・ローターさん、猫好きらしい。

あがた森魚 『佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど』

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あがた森魚 『佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど』 
2001年リリース(写真は2018年6月、再発盤)

大好きな先生。
誰しも忘れがたい思い出の先生が一人や二人いると思います。出来ることなら忘れてしまいたい先生もいらっしゃることと思いますが。

このタイトルにある「佐藤敬子先生」は、あがたさんが大好きだった小学校低学年時代の担任の先生だそうです。
アルバム冒頭で、佐藤先生とあがた少年の思わず笑ってしまうおかしなエピソードを歌う。それに続く曲もそれに導かれて物語のように綴られてゆく。

あがたさんは70年代頃までは佐藤先生に何度か再会していたそうで、でもその後ずっとお会いする機会がもてず、また会いたいという想いと並行して、佐藤先生は2000年の秋にお亡くなりになったことを知ったそう。
このアルバムのタイトル曲「佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど」はそのことをまだ知らずに作ったという。

アルバムは唯一無二の「あがたワールド」全開ですが、なんと6分におよぶ松田聖子さんの「風立ちぬ」のカバーが入ってます。聖子ちゃんのカバーというよりも、大瀧ナイアガラさんのカバーとして聴いた方がしっくりくるかもしれません(もちろん大瀧さんはこれを聴いてる筈ですが)。
あがたさんの真正直でパワフルな歌いっぷり。松本さん大瀧さんはいい曲書くなあとあらためて思う、おセンチでありながらも素晴らしくポジティブな「風立ちぬ」です。

参加ミュージシャンは久保田麻琴、鈴木惣一郎、HARCOほか、ハリー細野も一曲参加。さわやかな余韻が残る好盤です。

ドゥルッティ・コラム 『LC』

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ドゥルッティ・コラム 『LC』 1981年リリース

水彩画のようなドゥルッティ・コラムのセカンド。
1曲目のタイトルからして「夜明けのスケッチ」。
傑作ということではファースト『The Return of The Durutti Column』に分があると思いますが、この『LC』も負けず劣らずで2枚合わせて聴くのもいい。
基本ギターインストアルバムですが何曲かで地味に歌ってる。
タイトルの『LC』には政治的な意味合いがあるそう、でも前作に比べて明るく開放的で聴きやすい。

スピーカーから音が流れるというよりは、こぼれ落ちてくる感じ。解説ではこのサウンドを「生き物ぽい」と表現してる。
風にゆらゆら揺らぐ木の葉みたいに、今にも散りそうな繊細極まる曲のオンパレードでありながら、やってることは紛れもないパンク。しかもラジカルでありながら質素。加えてとても郷愁的。古い記憶の懐かしい風景をぼんやりと思い出すような独特の世界。

ミンミンゼミというよりはヒグラシ、赤トンボというよりは蜉蝣ぽい。
なにを書いているのかわからなくなってきましたが、少し寂しさの残る夏の終わりに似合う名作です。
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