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少し古い70年代頃のロック中心のブログです。
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『岸田森 夭逝の天才俳優・全記録』 武井崇

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『岸田森 夭逝の天才俳優・全記録』 著・武井崇 
2017年5月初版、洋泉社発行。

俳優 岸田森(きしだしん)1939-1982年。
ワイズ出版から2000年に発行された『不死蝶・岸田森』(編者:小幡貴一、小幡友貴)は、岸田森ファン必読のたいへん面白い読み物でしたが、今度はついに『全記録』の登場です。 

『岸田森 夭逝の天才俳優・全記録』は武井崇さん(65年生まれ)がまとめ上げたもので、あとがきに「1999年に発売した自費出版誌『岸田森全仕事』の商業出版化を目指したもの」とあります。
なんと岸田森さんを追い続けて20年の歳月が…、という力作労作を超えた決定版的な一冊。図書館で借りてきました。

中身はタイトルに偽りなしの全記録そのもの。なにしろ700頁を超えるボリュームで、読み始める前に暫しの間、オモテから裏から写真からと本を眺めまわしていました。
前半(300頁ほど)は友人・関係者への膨大な取材に基づく岸田森物語、
後半(400頁ほど)は全出演作品のデータと解説。
データと解説で400頁!と驚きますが、「傷だらけの天使」ひとつとっても全26話の一話毎のスタッフ・出演者・物語・解説を詳細に記録。加えて当時の芸能雑誌に載った小さなゴシップ記事までも網羅。正に執念ともいえそうな気の遠くなるような圧倒的な情報量です。
森さんの当時のインタビューはあまりありませんが、2012年にお亡くなりになった岸田蕃さん(実のお兄さん)の貴重なインタビューを掲載。

岸田森、没後35年「こんなに詳しく書かれても忘れちゃったよ」なんて、とぼけながらもやさしく笑ってるんじゃないかなと思います。
本当に魅力あふれる俳優でした。

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『怪奇大作戦』 第25話「京都買います」の名シーン、
共演の斉藤チヤ子さんと。

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』(朗読:岸田今日子)

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『銀河鉄道の夜』 新潮CD、1997年リリース。
宮沢賢治、1896年(明治29年)8月27日-1933年(昭和8年)9月21日。

今年は宮沢賢治生誕120年だそうです。
で、たまたま「朗読CD」というのを聴いてみました。
名作『銀河鉄道の夜』。
読んでくれるのは、怪優とも呼ばれた岸田今日子さん。
ゆっくり、じっくりと読んで聴かせる…、かと思いましたが、読むのけっこう早いです。どんどん進みます。スラスラスラと。ちょっとボーっとしてると話が進んじゃいます。
それでもCD1枚には収まりません。なので2枚組み、2時間半で読み終えます。

全ての「声」は岸田さん。
ジョバンニも、カムパネルラも、ザネリも、汽車の中で出会う全ての人たちも…。なので物語が進むほど、岸田さんスゴイ、とあらためて思ったりしながら聴きます。ご愛嬌で、ムーミンの雰囲気もところどころに出てきます。

部屋を暗くして聴けば、ジョバンニ達と同じ車両に乗ってるような気分にもなります。アニメ版の銀河鉄道も面白かったけど、言葉の世界は無限の想像が広がります。
最小限の効果音が使われていますが、大袈裟に盛り上げないので邪魔になりません。

「ではみなさんは、そういうふうに川だと云いわれたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」
聴きはじめて30分、ゴトンゴトン…『銀河鉄道』がやって来ました。

望月三起也 『秘密探偵JA』

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『秘密探偵JA』、「香港の黒い霧」の巻。 

三日、望月三起也さんがお亡くなりになった。77歳。

漫画本を一冊だけ持っています、『秘密探偵JA』。
大傑作『ワイルド7』の連載開始より5年ほど若い作品です。
リアルタイムでは知らないけど、でも小さい頃にこの第1巻「香港の黒い霧」(いいタイトル、初版は1967年)を読破しました。
秘密探偵、飛鳥次郎の活躍を描く。コレがもうめっちゃ面白かった。
で、10年ほど前に古本屋でたまたま見つけて買ったんです。また読んでみたいというよりも、なんとなく傍に置いておきたい一冊だなと思って。

【名場面】
10人の敵に囲まれても一瞬で倒す、しかも使用できる弾丸は4発まで。
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望月さんが「まえがき」にヒッチコックのこんな言葉を引用してる。
『映画は「追跡」である。いつでも何かに追われているもの(それがギャングでも、時間にでも)、これが楽しめる作品になるコツである。』

望月さんの描くストーリーはすごく映画的でハラハラドキドキな展開がいっぱいでした。構図がまた最高にカッコよくて。
いやあ、ホントに面白かったです。

『不死蝶 岸田森』

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『不死蝶 岸田森』(編者:小幡貴一、小幡友貴) 
2000年6月、ワイズ出版発行。

岸田 森(きしだ しん)、1939-1982。

このところ、日曜の夜更けは東京MXテレビで放映してる『ウルトラQ』と『怪奇大作戦』を見てます。
なつかしさよりも当時の制作スタッフがいかに斬新でユニークなセンスの持ち主だったかがわかる。好きな人には堪らない1時間ですね。

で、『怪奇大作戦』を見ているうちに、岸田森さんのことをもっと知りたいと思ったんです。
岸田森さんは82年、43歳という若さで食道がんで惜しくもお亡くなりになった、超がつく個性派俳優でした。
『怪奇大作戦』の第25話「京都買います」は今も語り草になってますね。
多くの人にはなんと言っても74年~75年の人気ドラマ『傷だらけの天使』の辰巳五郎役。おもしろおかしいシリアスな怪演は楽しかった。

そんな岸田森さんがこの世を去って18年経った2000年に出版されたのが『不死蝶 岸田森』。今になって読みました。
岸田さんは蝶が好きだったんです、だからこのタイトル。

これは泣ける本です。いや、泣きはしないけど、泣けてくるような話がたくさん出てきます。
とことんやさしくあたたかで面倒見がよくておしゃべりで、でもナイーブで寂しがり屋な森ちゃん(愛称)の素顔がいっぱい。
読んでいると「森ちゃん」って呼びたくなります。
役者仲間から慕われる人柄がフワフワと伝わってきました。
冒頭に森ちゃんの七変化級の貴重な写真を30ページに渡って掲載、それを眺めてるだけでも編者の愛情が滲み出てます。
『傷だらけの天使』共演者のみなさんほか、縁の方たちが「森ちゃんのこと」を話してる。数々のエピソード、そしてあまりに大きな穴が開いてしまったこと、これには胸が熱くなりました。

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お酒も大好き、酒の席が盛り上がってない時は「歌いますよ」って言って歌うこともあったそう。戦後のヒット曲『星の流れに』が十八番。
それが歌じゃなくて「台詞」にしちゃう。すごかったそうです。

『不死蝶 岸田森』、これはシビレる一冊です。

マウイ島の詩人、W.S.マーウィン

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柴田元幸編集、雑誌「MONKEY」第5号より。

「MONKEY」はとても丁寧に作られたカタログ風の文芸誌。
毎号読んでるわけじゃないけど、季刊誌なのかなコレ、忘れた頃に出る。
寝る前なんかにパラパラ眺めるのに丁度いいかも。

編集の柴田元幸さんの本業は翻訳家。
柴田さんの名前は音楽雑誌でも見かける。好きな洋楽の第1位にキンクスの「ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ」を挙げていた。そういう人です、ってどんな人だか。

さて、そんな雑誌「MONKEY」でW.S.マーウィンという詩人を紹介している。マーウィンさんのことはこの雑誌ではじめて知りました。
1927年ニューヨークの生まれ、70年代頃からハワイ(マウイ島)に移り住む。そこで熱帯雨林を育て、そして詩を創作してる。

17篇の訳詩が掲載されていて、その中に「椰子」という詩がありました。
さらっとした椰子の気分が少しわかったような気がしましたよ。

「MONKEY」より転載。

     椰 子 (W.S.マーウィン、訳:柴田元幸)

  椰子は急がない
  変わろうとあせったりしない
  椰子はゆっくり育つ
  椰子になるすべを知っている
  種だったときは
  椰子の種になるすべを知っていた
  花だったときは
  椰子の花になるすべを知っていた
  椰子になると ゆっくり
  育った
  目もなしに
  潮風の中で


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W.S.マーウィン、愛犬と。

背の高いヤシはいい、
「急がない、変わろうとあせったりしない」からね。

古いロック雑誌。

音楽雑誌を買わなくなって久しいけれど(立ち読みで済ませちゃってます)、80年代頃までのロック雑誌はどれもそれぞれにオモシロカッタ。
もちろん音楽そのものが今と比較にならないほどバラエティに富んでいたと思いますが、雑誌も負けず劣らずの個性的なライターがいて、とにかく勢いがありましたね。

こんな古いやつも数冊、手元に残ってます。
21st Century Schizoid Magazine「rockin' on」
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伝説の雑誌、ロッキンオン。これは78年モノで、定価280円。
いまも発刊してるんだから伝説なんて言ったら失礼ですね。
薄っぺらで60ページ程、カラーは表紙だけです。

▼ブロンディの初来日公演があった模様。
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この号では、トーキングヘッズのデビューアルバムの訳詞を掲載していて、「買う値打ちあり」ってプッシュしてる。
「ロックとはなんぞや」みたいな煽る記事も多いんだけど、読み応えがあって面白かった。
この手の雑誌をむさぼり読んだロック少年少女たち、元気に正しきロックおじさん・ロックおばさんになったのかな。

そんなロック雑誌も「ここ数年質が落ちた」って言われてますね。
ロッキンオンもミュージックマガジンもなかなか買うほどの面白味を感じないけど、この辺の雑誌はまだいい方かもしれません。
ライターの中には聴かないでレビュー書けちゃう人もいるみたいだし。
発売日が待ち遠しかった頃はもう遠いむかし。

     ☆    ☆    ☆    ☆    ☆

そんなわけで雑誌からは遠のいていますがCDはたまに買ってます。
▼今年買った初CDです。
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まさかの「90%OFF」、やってくれますね。
中古かと思ったら新品。レンタルするより安いかも。
キャロル・キングは永遠のド定番、もう売れないのかな。
和幸(かずこう)は、当時パスして聴いてなかったんだけど、その後を想うと今さらだけど聴いてみようかと。
きたやまおさむさんの作詞が2曲。「生命(いのち)」という曲は「あの素晴しい愛をもう一度」をもう一度って感じのトノバンらしい曲です。

ソニー/ウォークマン

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ライクーダー・・・ロンサムカーボーイ・・・片岡義男・・。
あれはソニーじゃなくてパイオニアでしたか。

ところで、ウォークマンが誕生したのは1979年の夏だそうです。
ザ・タイガース復活で今も人気のジュリーが「Oh!ギャル」を歌い、今もたまに呟いてしまう「なんちゅうか、本中華」の年。心の片隅に焼きついた「ディアハンター」や「ビッグウェンズデー」もこの年です。

今なら「持ってるCD全部入れておきましょう」で済んでしまうけど、あの頃はカセットテープの時代。
音楽専用テープにマイベストをせっせと録音。キュー&レビューで頭出し。うっかりするとテープがビローンと出てきちゃったり、指でクルクル回してみたり、手間ヒマかかりましたね。

さて、それはさて置き、いままで使っていたやつの充電池がいよいよダメになっちゃって8年ぶりに買い替えました、ウォークマン。
何時の間にかずいぶん進化しているようで多彩な機能が盛り沢山、なかなか使いこなせません。
しかしまあ、肝心の音の方は旧機種に比べて格段に向上しているようです。
飽きるほど聴いた曲も「後ろでこんな音鳴っていたのか」っていう発見がけっこうあります。

でもつまるところ昔聴き馴染んだアナログレコードの音が「一番好きな音」なんじゃないでしょうか。有難みがあった時代の記憶に残るアナログ盤の音に近づくほど「いい音」って思います。
でもまあしかしなんですね、10代の頃に聴きまくっていた音楽を未だに聞いているなんて、何にも変わっていないのです。

村上春樹 「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」

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村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
4月12日発売。
話題沸騰、もう100万部突破でしょうか。
発売前にほとんど情報を流さない販売戦略も大成功。
発売日は開店時間を大幅に繰り上げる書店まで出てくるほどの騒ぎ。

いままで興味薄だったんですが、今回初めて村上春樹を読みました。
イーノのアンビエント「ミュージック・フォー・エアポート」をかけながら。話の雰囲気に合います。

内容はなるべく控えたいと思いますが、フランツ・リストという作曲家の「ル・マル・デュ・ペイ」という曲がキーワード風に何度か出てきます。
郷愁とかホームシックという意味らしいんですが、村上春樹はこれを、
『田園風景が人の心に呼び起こす、理由のない哀しみ』と翻訳している。
この一文はこの小説のある一面をかなり正確に表していると思います。
そんな心象(心情)風景の中、ある核心に迫ってゆく話です。

読んでいてデヴィッドリンチの映画「マルホランド・ドライブ」をふと思い出しました。不吉な予感の前ぶれ、謎に包まれた夢、正確な枠組みから重要な部分を省いてしまう編集が単純に似ているなと。

読後、いろんな人のいろんな感想が気になっていくつか読んでみました。
否定的なダメ出し多数。しかしそれらの意見よりもこの小説の面白味の方が勝っています。
(今更ですが、ほかの作品も読んでみようと思っています)
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