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Author:ポタリング
少し古い70年代頃のロック中心のブログです。
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リー・リトナー 『キャプテン・フィンガーズ』

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リー・リトナー『キャプテン・フィンガーズ』 1977年リリース。

「そうだ、フュージョン聴こう」と思って、にわかフュージョンブームなこの頃です。
70年代後半に流行ってましたね、フュージョン。
FMから流れてきたやつをカセットに録ったり、レコードも数枚買いました。雑誌ポパイが創刊されたのもその頃で、カリフォルニアだ、UCLAだ、ナイキ履いてジョギングしよう、そんなアメリカ文化への憧れみたいなノリも手伝って、そこのスタジオミュージシャンは凄腕揃いで…、そんな極めて薄っぺらいフュージョンの聴き方でしたけど。

ところが同じころに個性的なニューウェイブのみなさんが次々に登場して、フュージョンはアッという間にどこかへ吹き飛んでしまいました。
ターンテーブルはいつもニューウェイブ勢が占領しました。
そんなわけで中途半端な記憶しかないフュージョンです。

で、いま再び聴こうにも手持ちにフュージョン系はほとんどなかったので、早速図書館に出向きました。「有名なフュージョンありますか」という安直で深みのない画策です。何を借りようか、多少なり知ってる曲が入ってる方がいいだろうなと思って70年代のリー・リトナーやクルセイダーズあたりを適当に選びました。

写真はリー・リトナー25歳の『キャプテン・フィンガーズ』。
参加メンバーはハーヴィー・メイソン、デイヴ・グルーシン、アンソニー・ジャクソン、アーニー・ワッツ、パトリース・ラッシェン等々、有名どころの名プレイヤーがずらり並んでます。
一曲目のタイトルナンバーは聴くまでどんな曲か思い出せませんでしたが、聴いてみると「あっこれか」ってな感じです。

いまどきこの手の古いフュージョンを聴いてるのはちょいと時代とズレてる気もします。でも「雨のち初夏の陽気」みたいな季節にアナログなフュージョンは「夏の予告」みたいにも聞こえます。
懐かしい夏が帰ってくるような、そんな気分です。

Tin Pan

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Tin Pan 2000年11月リリース
Tin Pan : 細野晴臣、鈴木茂、林立夫
Guest : 忌野清志郎、大瀧詠一、大貫妙子、久保田麻琴、小坂忠、高遠彩子、高野寛、デヴィッド・トゥープ、中村一義、矢野顕子、吉田美奈子

リリース時に「これは買わねば」と意気込んで買った1枚。
でも買ったのはいいけれどずいぶん渋いなあと思っちゃって、当時はあまり熱心に聴いてなかった気がします。で、最近になってちょいと聴きなおしてみたところ渋味が丁度いい味わいに変わってました。17年という歳月が流れてしまいましたが。

古くからのファンにお馴染みの曲として「フジヤマ・ママ」と「ハンド・クラッピング・ルンバ」が入ってます。
「フジヤマ・ママ」は細野さんちの古いカセットを整理していたら76年のセッション音源を見つけたらしく、そこに足りない音を重ねたそう。
「ハンド・クラッピング・ルンバ」のカバーは新しい歌詞に生まれ変わって、ボーカルは忌野清志郎、コーラスに大瀧詠一。アルバムのなかでは一番ハジケた曲に仕上がってます。「♪2番は1番とちょっと違う」の後ろで「そりゃそーだ」の声も聴こえてまいります。

オリジナル曲は実験色強めのニューオーリンズって感じ。コクも渋味もブレンドされて、やっぱりこの3人じゃないと出せないグルーヴがいっぱい、アバンギャルドなリズムの妙が楽しめます。
林さんは80年代半ばから長いこと音楽活動を休んでいて、細野さんとはその間20年ほども会う機会がなかったらしい。それでもこの絶妙のあうんの呼吸はなんなんでしょう。

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辿ると68年にやっていたらしき「スージー・クリーム・チーズ」というフランク・ザッパのようなバンドに御三方が、林さん鈴木さんはまだ10代。

アルバムのラストはなんちゃってビーチボーイズ風な「Growth」
20世紀最後の夕陽を見つめながらゆったりここちよく幕を下ろす。

イギー・ポップ『イディオット』(愚者)

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イギー・ポップ『イディオット』 1977年リリース

良かれ悪しかれ「パンクのゴッドファーザー」なんて呼ばれるイギー・ポップ、加えて「いい人すぎる」という人柄もよく知られている。
インタビューなど読むとたしかに受け答えが「楽しくいい人」である。

『イディオット』は当時リハビリ中のイギーを盟友デヴィッド・ボウイが全面的にバックアップしたソロデビュー作で、次作『ラスト・フォー・ライフ』と並んで根強いイギーファンが推す1枚、…まあご両人ともリハビリ中だったのかもしれませんが。
エゴン・シーレ風なポーズをとるジャケ、撮影は鋤田正義さんと思っていましたがライナーを見直したらアンディ・ケントという方でした。

全8曲ともイギーとボウイの共作(カルロス・アロマー参加曲もあり)。
荒く歪んだサウンドは同時期のボウイの名作『ロウ』に似たとこもあるけど、それよりもイギーをプロデュースしながら逆にボウイが刺激を受けてる感じもちらほら。
83年のボウイの大ヒットアルバム『レッツ・ダンス』で再演した「チャイナガール」のオリジナルはこれに入ってる、ハッキリ言うとボウイバージョンよりイギーの方が断然いい。
81年には当時最先端のグレイス・ジョーンズが「ナイトクラビング」をカバー、クールなアレンジが話題になった。
ラストの8分を超える「マス・プロダクション」は彼らがこの時期よく聴いていたらしきジャーマンロック風な大曲で、ノイ!のミヒャエル・ローターがひょっこり顔を出しそうな一幕も。

YouTubeで当時のスタジオライブを見ると、上半身裸で飛び跳ねるイギーの横で、ボウイは弟を見守るアニキみたいな顔してキーボードを弾いている。

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当時の雑誌(ロッキンオン)、新譜広告も並んで。
二人とも47年生まれ、ボウイが何か月かお兄さん。この頃イギーのプロモーションを兼ねて仲良く来日も。

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画家ボウイが描くイギー。

イギーは先日「人生七十古来稀なり」な70歳を迎えた、イギー自身は今もなお生きていることに驚いているらしいけど。
昨年出した『Post Pop Depression』が最後のアルバムになるという噂は本当かもしれないけど、ゴッドファーザーには喜寿、傘寿…いやもっと…と思う。今はもうイギーしかいない。

宮川泰「ゲバゲバ90分!ミュージックファイル」

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「ゲバゲバ90分!ミュージックファイル」 1998年リリース。

テレビ番組に洒落があってサラッとした笑いがいっぱいだったころの超人気バラエティ『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』。
第一回の放送は1969年10月7日、火曜日の夜8時、4チャンです。
ハナ肇、常田富士男、熊倉一雄、藤村俊二、大辻伺郎、小松方正、宍戸錠、小山ルミ、萩本欽一、坂上二郎、宮本信子、…その他大勢が毎週90分ぶっ続けでセンスあるショートコントを繰り広げる。
ふるいにかかったギャグの数も、制作費も桁外れだったらしい。
ついでにこの年のレコード大賞は『いいじゃないの幸せならば』、ロック界では今も伝説「Woodstock」が開催された。

このCDはその『ゲバゲバ』の笑いと一緒に全国津々浦々のお茶の間のみなさんに浸透した音源をまとめたもので、いま聴くと昭和の貴重な資料という趣。作曲は故宮川泰さん。オリジナル音源で楽しめます。

【play】ボタンをポチッと…、
いきなりの「♪ゲバゲバピー」に続いて、やたら元気のいいテーマ曲がはじまりました。「そうそうこれだ」、とすっかり忘れていましたが思い出しました。そのあともいいタイミングで「ゲバゲバピー」が何度か出てきます。それも含んで全部で44曲、67分の特盛りです。
知らないうちに10曲くらい終わってます。あとはもうどれがどれだかって感じで、ひょうきんでとぼけた曲、ゴーゴー、ジャズ、ラウンジ、ズッコケる音…、そんな曲のオンパレード。どんなスタイルの曲でもカラッとした品の良さが感じられるのが宮川泰さんの才腕、ってところでしょうか。

どんなTPOで聞いたらいいのかよくわかりませんが、掃除や後片付けみたいな、ちょっとめんどくさいことをやらねばならぬという時のBGMにすれば、普段よりテンポ良く知らぬ間に口笛でも吹いてるかもしれません。

…えー、懐かしさにひたって議論が激しく脇道にそれてしまいました。
本日の本題は『ゲバゲバピー』の誕生秘話について、でしたね、少し長くなりますがご存じの方もどうぞお手元の資料をご覧ください。
(CD付属資料より拝借)
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『まわり舞台の上で 荒木一郎』

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『まわり舞台の上で 荒木一郎』

三ケ月ほど開催していた『デヴィッドボウイ展』が今月9日で終わった。
3月中に行こうかと目論んでいたのですが、行かなかった、きちんと言うと行けなくなってしまった。
それは先日の昼過ぎのこと、自転車に乗って颯爽と、…というつもりが一瞬の不注意で転倒。これで行けなくなっちゃいました。
密かにあたためていたボウイ展レポ『空に星(★)があるように』は見果てぬ夢となりましたが、でも身体は少しづつ急速に回復に向かってます。

さて、そんなボウイさんとは何の関係もありませんが『空に星があるように』といえば荒木一郎ですね。
少し前に、地元の図書館に一冊の本を予約してました。
タイトルは『まわり舞台の上で 荒木一郎』
昨年10月に出版された荒木一郎さんの「語りおろし」で、あまり世間に知られていない(と思われる)思い出話を500頁に渡って語る、という読者層がかなり限定されそうな趣味シュミな内容です。
本屋で見かけて面白そうだなと思ったんですが、3200円+税か、それじゃあ急ぐこともないし図書館でいいかと。

で、図書館でも地味に人気らしく予約順で待つこと数ヶ月。忘れかけたころに「例の本ありまっせ」という、もっと丁寧でしたがそんなメールが届いて早速借りてきました。
厚さ4センチ、返却期限までに読み終わらないんじゃないかと思って気になるところから読み始めてます。でも全編インタビュー形式なのでわりとスラスラ読める感じです。勝新太郎、松田優作、桃井かおりほか多数、一時代を築いた俳優陣らの名がぞろぞろ出てきます。荒木さんのことを詳しい人ほど興味深い初耳裏話が満載かと思います。

デビューシングル『空に星があるように』はレコード化するにあたって、当初レコード会社は橋幸夫に歌わせたい、という思惑があったそう。それに大反対をしたのが当時のラジオ番組「星に唄おう」を提供していた森永乳業の宣伝課長さんだったそうです。

ブライアン・イーノ&ジョン・ケイル『ロング・ウェイ・アップ』

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ブライアン・イーノ&ジョン・ケイル『ロング・ウェイ・アップ』1990年

昔馴染みジョン・ケイルとのコラボ。
ジョン・ケイルの方が6歳年上、お二人とも40代のころ。
77年の「Before and After Science」以来、13年ぶりのご無沙汰で久方ぶりに「イーノが歌ってる」と当時話題に。

全10曲、二人で半々ずつ歌う。二人とも声の良さでは定評がある、いい声の持ち主。
ここには環境音楽もアンビエントもない。聴いてて疲れない、眠くもならない。意味深な歌もあるようだけど、全体の印象は控え目だけどすごく明るくポップで和めるアルバム。あちこちに80年代っぽさが残ってます。

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写真のような穏やかな午後、庭に出て紅茶でも飲みながら作ったような冒頭の「Lay My Love」(後に高橋幸宏が「らしく」カバーしている)。はじめて聴いたときは、この1曲でこのアルバムはなんだかとても良さげだなあ、と思えました。
ほかも粒ぞろいの佳曲が続きます。なかでも「星たちの中で…星たちの中で…」と歌う美しい「Spinning Away」は、この時期のイーノの傑作っていわれてる。
とても春めいた心地いいアルバムです。

田中希代子 『東洋の奇蹟』

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田中希代子 『東洋の奇蹟』 2006年編集。 

少し前に近所の図書館で「偉人の名言集」みたいな本をパラパラ眺めていたら、こんな言葉を見つけました。

「頑張ります」って言葉、いまとても流行ですよ。
だけど、「頑張ります」なんてどういうこと?…って感じ。
わたくしは、頑張りません。(田中希代子)


ずいぶんと突き抜けたことを言うなあと思って記憶に残りました。でも田中希代子さんとは誰なのか、何も知りませんでした。
で、ウィキペディアなど見ると田中希代子さん(1932-1996)は『東洋の奇蹟』と呼ばれるクラシックのピアニストで……。

…とここまで書いたところでなんですが、
クラシック音楽にはほとんど馴染みがありません。少々聴いたのは「2001年宇宙の旅」のサントラ、お馴染みの「ボレロ」、サティのなんとかとか、いかにもロックファンが野次馬的に聴きそうな、しかも表面なぞっておしまい、そんなのばかりです。なので知ったかぶって書きます…。

田中さんは国内より海外で活躍されて、数々の輝かしい賞を受賞。
しかし30代半ばに不治の病に侵され音楽活動を断念、引退後は門下生の指導にあたる。たいへんな人生を送られました。最初の言葉は苦しい闘病生活の中での言葉だったそうです。

このアルバム『東洋の奇蹟』は没後10年に企画された2枚組(1枚はモノもう1枚はステレオ)で、ショパン、ベートーヴェン、モーツァルトときて、最後にドビュッシー。録音時期は1955~66年。どれも半世紀を超える古い録音です(現存する音源は少ないそう)。
どんな言葉で紹介されているのか、付属の解説からひろってみます。

【解説より】
一点のあいまいさもゆるさない潔癖さ、強い構成力と遠近感、人並みはずれて鋭敏な感性、すばやい判断力と決断、強い向上心、厳しい道徳心、豊かな情緒、気取らない、未完の天才…等々。

…それとこんなエピソード…
あるとき田中さんに自身の数年前の録音を聴かせたところ、その演奏者は誰ですかと尋ねるので「あなたです」と答えると、「それは絶対にウソ」と主張した。理由はペダルの踏み方が決定的に違うと。
このことはほんの二・三年の間に過去の演奏を忘れるほどスタイルを変えていた、ということになる。


すごいピアニスト。
でもこのCDを熱心に聴き込む、というにはまだ遠い感じです。なので本でも読みながら何かしらBGMがほしいような時に流したりしてます(毎度評価が割れる村上春樹の新刊を少しずつ読んでます)。
アルバムの最後はドビュッシーの「花火」。この超越的に鋭い「花火」の前では騎士団長も出る幕がない、のかもしれません。

クワイエット・サン 『メインストリーム』

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クワイエット・サン『メインストリーム』 1975年リリース。
  Phil Manzanera : guitar
  Bill MacCormick : bass, back-up voices
  Charles Hayward : drums, voice
  Dave Jarrett : piano
   with
  Eno : synthesizer, treatments & Oblique Strategies
  Ian MacCormick : back-up voices

フィル・マンザネラを中心としたクワイエット・サンが残した唯一のアルバム。
もともとクワイエット・サンは69年頃に結成したが、アルバムはリリースしないまま1年足らずで解散したバンド。
しかしここで終わらなかった。

ロキシーで活躍中のフィルは、自身のファーストソロアルバム制作の際に「ぜひこの機会に」という感じに旧友(クワイエット・サンの仲間)を呼び集める。この辺に思い入れのあるロックファンならニヤリとする顔ぶれ。
そしてソロ作(ダイアモンドヘッド)と並行して短期集中的にこの『メインストリーム』という奇跡のようなアルバムを制作した。

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イーノがゲスト参加、ミカバンドのトレーナーを着てる。

全7曲、ラストの曲を除いて全てインスト。
ジャンルで言うとカンタベリー系のプログレ、…なのかな。埃をかぶった古い絵本でも眺めてるような印象的なジャケット画とサウンドが見事に合っています。
曲は以前からストックしていたようで、その経過した年月まで投影してる感じでどの曲も奥深く滋味豊か。緊張感のあるピリピリした感触が支配しているけど、それでいてどこかロマンチックな面も。
メンバー4人それぞれの曲が収録されているけど、「ある一夜の物語」でも演奏しているような統一感も魅力。
今も隠れファンが多い、鈍く美しい輝きを放つ名盤です。
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