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Author:ポタリング
少し古い70年代頃のロック中心のブログです。
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ダン・ヒックス 『イット・ハプンド・ワン・バイト』

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ダン・ヒックス『イット・ハプンド・ワン・バイト』 1978年リリース

ことし(2016年)は一度や二度は聴いたことがある、というより百度や二百度は聴き親しんだ多くのミュージシャンが続いて逝ってしまいました。
いつまでも若くはないんだ…なんて理解はしているものの…、でもこんな年はなかったですね。

ことしの2月にはダン・ヒックスが亡くなった、74歳。
亡くなったことを知ったのが5月頃で、「そうだったんだ…」としかなかったです。まだまだカッコいい爺様になるもんだと、勝手に思ってました。
何度か来日もして、一度も見に行けなかったけどたくさんの楽しい音楽をありがとう、なんていまさら言ってみたところでなんですが、でも本当に素敵なミュージシャン、まさに粋人でした。
 dan hicks (2)
カントリーとフォークとジャズをミックス。そこにちょいとノスタルジックな女性コーラスを配置して、いい声で歌う。
ヒップでクールなんて言われる洒落っ気ある音楽を聴かせてくれた。
このユニークな音楽の発想は、よく聴いていたグレンミラー楽団の古いレコードからヒントを得たという。

名作も数多い中、一番よく聴いたアルバムは78年の『イット・ハプンド・ワン・バイト』、プロデュースは敏腕トミー・リピューマ。
もともとはアニメ映画のサントラとして制作されたアルバム。なので全編ポップでとぼけた感じの軽いノリが魅力。録音は75年に行われたらしいけど、その後アニメが頓挫しちゃってリリースが遅れたそう。
若いころからおじさん顔のヒックスですが、このアルバム制作時はたぶんまだ33歳であります。

2~3分の短めの曲が13曲、一気に聴いても33分の巻。
ハイウェイをのんびりとドライブするような「CRUIZIN'」でノリ良くはじまる。カバーが1曲、ペリー・コモも歌った名曲「Garden In The Rain」をカバーしてる。あとは全てヒックス作。
楽しくて激シブ、というなかなかマネの出来ないことを軽々とやってます。

カッコいいおじさんのお手本だったダン・ヒックス、聴いてワン。
 dan hicks cow

『ザ・ウォーク』

the walk
『ザ・ウォーク』 ロバート・ゼメキス監督 2016年公開
主演:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット

ちょっと前の映画、今頃レンタルで観ました。
フランスの大道芸人(フィリップ・プティ、1949生まれ)の実話に基づくストーリー。ホントはこれより先に制作されたジェームズ・マーシュ監督のドキュメンタリー『マン・オン・ ワイヤー』を見たかったんですが、なかったのでこちらを。

世紀の綱渡り事件。時は1974年、場所はニューヨーク、今はもう存在しないワールドトレードセンター(ツインタワー)。
地上411mの二棟の間に幅2.2㎝のワイヤーを張る。で、渡っちゃう。
向う見ずな犯罪、でも大きな夢。それを実現させてしまう過程を描く。
映画ではほとんど触れませんが、実際のプティは逮捕歴500回を超えるという毎度毎度のお騒がせ野郎でもある。

フランス時代の風景がいい。綱渡りと関係ないんですが、街を行き来するエキストラが洒落者で、襟の大きいシャツにラッパズボン。オシャレな車。70年代好きには楽しい場面です。
そこにプティの協力者になる路上で弾き語りをする女性が登場。レナード・コーエンの「スザンヌ」を下手っぴに歌ってる。

ゼメキス監督なのでサスペンスな演出も手慣れたもの。
どんな方法でタワー間にワイヤーを張るのか。それは見てのお楽しみというところですが、何人かの仲間(共犯者)がいます。
CGを多用した映像満載だけどこれなら納得。3D大画面で手に汗握って観るのが一番なんでしょうけど、まあ普通にTVでも楽しめました。
プティ本人も綱渡りの技術指導で協力してるそうです。
walk (1)
左から、役者、監督、綱渡り師。

ラストに深い感動が待ってるとか、そのへんは抑えめ。
2001年9月11日のことは直接的には一言も語らない。それでもやはり見る側があの日を思い出すようにはできてる。二度と見ることの出来ない展望、それを眺めるだけでもいいかもしれない。

いつだったか俳優・火野正平さんが自転車で全国を旅する番組『こころ旅』で、自転車にかけて「人生下り坂最高」というシャレたことを言ってましたが、『ザ・ウォーク』は「人生綱渡りサイコー」と言ってるような、そんな映画でした。
一度は挑戦してみてもいいかも、もちろん夢の中で。

イーノ 『テイキング・タイガー・マウンテン』

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イーノ『テイキング・タイガー・マウンテン』 1974年リリース

聴いたのは75年の『アナザー・グリーン・ワールド』が先でした。「イーノはいつ聴いてもいいのー」という駄洒落があった頃です。さすがにイーノのことをエノという人はもういなかったと思います。
で、前作の『テイキング・タイガー・マウンテン』もその頃聴いたんですが、この型にはまらない気ままなセンスがよくわからなくて何度か聴いておしまいでした。

ところが78年に素晴らしくヘンテコなディーボの名作『頽廃的美学論』を世に送り出し、イーノのプロデュース業はスゴイ、となるわけです。
余談ですが、勢いに乗ったディーボは早速来日していきなりの武道館公演。かなりのディーボ信者が見物に出向いて館内は「♪We Are Devo!」の大合唱となりました…、いや、ちょっと大袈裟か。

でもまあそんなところで『テイキング…』を引っ張り出してまた聴きはじめて。そしたらなんということでしょう、イーノのエッセンスがそこらじゅうに散らばってる大変ユニークなアルバムであった、ということがやっと少しはわかるようになった次第です。

この一風変わったアルバムタイトルは(知ったかぶりですが)、中国の古典劇『智取威虎山(ちしゅいこざん)』から頂戴したという。なのでオリエンタルムードがチラホラ。『タイガー・マウンテン』という入山したら最後、二度と帰ってこれないような空想冒険活劇的な響きも実にイーノっぽいですね。
ジャケットデザインも秀逸。アナログ盤だと雰囲気あるんですが、地図に載ってない国の妖しい土産物みたい。並んだイーノの顔で駒を進めるいつまでたってもアガれないボードゲームにもみえる。

中身は不思議な明るさのある奇妙な10曲。
特に狂騒的な「サード・アンクル」が有名でしょうか。フィル・マンザネラの貢献も大きいアルバムですが、初期ロキシーのポップな魅力がまだ残ってるファンタスティックなイーノ。
いつものメンバーに加えてイーノ好みのポーツマス・シンフォニア(楽器が弾けない素人学生で構成したオーケストラ)も参加。
「The True Wheel」の歌詞で「♪We are the 801」って歌ってる。
イーノ、フィルらで結成したアンビエントからヘビメタまで演ってしまうスーパーエキセントリックバンド「801」のイメージはこの頃から出来上がってたんですね。

ラストのタイトルナンバーは次作『アナザー・グリーン・ワールド』の岸辺を望みながら、静かにゆっくりと近づいていく。
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