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Author:ポタリング
少し古い70年代頃のロック中心のブログです。
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ブライアン・ウィルソン 「ノー・ピア・プレッシャー」

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ブライアン・ウィルソン 「ノー・ピア・プレッシャー」 
2015年リリース(日本盤は18曲入り、輸入通常盤より5曲多い)

ブライアン・ウィルソンの今のところの最新アルバム。
よく聴いてる1枚。と言っても細かいとこまで熱心に聴き込んでるわけではなくて、ただ流しっぱなしにしてる。そんな風に聴いてます。BGMというほど聞き流せないけど。
アル・ジャーディンほか多彩なゲストボーカルが参加。ときどき夕暮れのビーチボーイズっぽくなるところがとても良いです。
70歳超えてこんなアルバムを作るブライアン・ウィルソン。
ブライアン・ウィルソンがいること、このことはつくづくいいことだなあと思うこの頃です。

ダン・ヒックス 『イット・ハプンド・ワン・バイト』

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ダン・ヒックス『イット・ハプンド・ワン・バイト』 1978年リリース

ことし(2016年)は一度や二度は聴いたことがある、というより百度や二百度は聴き親しんだ多くのミュージシャンが続いて逝ってしまいました。
いつまでも若くはないんだ…なんて理解はしているものの…、でもこんな年はなかったですね。

ことしの2月にはダン・ヒックスが亡くなった、74歳。
亡くなったことを知ったのが5月頃で、「そうだったんだ…」としかなかったです。まだまだカッコいい爺様になるもんだと、勝手に思ってました。
何度か来日もして、一度も見に行けなかったけどたくさんの楽しい音楽をありがとう、なんていまさら言ってみたところでなんですが、でも本当に素敵なミュージシャン、まさに粋人でした。
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カントリーとフォークとジャズをミックス。そこにちょいとノスタルジックな女性コーラスを配置して、いい声で歌う。
ヒップでクールなんて言われる洒落っ気ある音楽を聴かせてくれた。
このユニークな音楽の発想は、よく聴いていたグレンミラー楽団の古いレコードからヒントを得たという。

名作も数多い中、一番よく聴いたアルバムは78年の『イット・ハプンド・ワン・バイト』、プロデュースは敏腕トミー・リピューマ。
もともとはアニメ映画のサントラとして制作されたアルバム。なので全編ポップでとぼけた感じの軽いノリが魅力。録音は75年に行われたらしいけど、その後アニメが頓挫しちゃってリリースが遅れたそう。
若いころからおじさん顔のヒックスですが、このアルバム制作時はたぶんまだ33歳であります。

2~3分の短めの曲が13曲、一気に聴いても33分の巻。
ハイウェイをのんびりとドライブするような「CRUIZIN'」でノリ良くはじまる。カバーが1曲、ペリー・コモも歌った名曲「Garden In The Rain」をカバーしてる。あとは全てヒックス作。
楽しくて激シブ、というなかなかマネの出来ないことを軽々とやってます。

カッコいいおじさんのお手本だったダン・ヒックス、聴いてワン。
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『ザ・ウォーク』

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『ザ・ウォーク』 ロバート・ゼメキス監督 2016年公開
主演:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット

ちょっと前の映画、今頃レンタルで観ました。
フランスの大道芸人(フィリップ・プティ、1949生まれ)の実話に基づくストーリー。ホントはこれより先に制作されたジェームズ・マーシュ監督のドキュメンタリー『マン・オン・ ワイヤー』を見たかったんですが、なかったのでこちらを。

世紀の綱渡り事件。時は1974年、場所はニューヨーク、今はもう存在しないワールドトレードセンター(ツインタワー)。
地上411mの二棟の間に幅2.2㎝のワイヤーを張る。で、渡っちゃう。
向う見ずな犯罪、でも大きな夢。それを実現させてしまう過程を描く。
映画ではほとんど触れませんが、実際のプティは逮捕歴500回を超えるという毎度毎度のお騒がせ野郎でもある。

フランス時代の風景がいい。綱渡りと関係ないんですが、街を行き来するエキストラが洒落者で、襟の大きいシャツにラッパズボン。オシャレな車。70年代好きには楽しい場面です。
そこにプティの協力者になる路上で弾き語りをする女性が登場。レナード・コーエンの「スザンヌ」を下手っぴに歌ってる。

ゼメキス監督なのでサスペンスな演出も手慣れたもの。
どんな方法でタワー間にワイヤーを張るのか。それは見てのお楽しみというところですが、何人かの仲間(共犯者)がいます。
CGを多用した映像満載だけどこれなら納得。3D大画面で手に汗握って観るのが一番なんでしょうけど、まあ普通にTVでも楽しめました。
プティ本人も綱渡りの技術指導で協力してるそうです。
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左から、役者、監督、綱渡り師。

ラストに深い感動が待ってるとか、そのへんは抑えめ。
2001年9月11日のことは直接的には一言も語らない。それでもやはり見る側があの日を思い出すようにはできてる。二度と見ることの出来ない展望、それを眺めるだけでもいいかもしれない。

いつだったか俳優・火野正平さんが自転車で全国を旅する番組『こころ旅』で、自転車にかけて「人生下り坂最高」というシャレたことを言ってましたが、『ザ・ウォーク』は「人生綱渡りサイコー」と言ってるような、そんな映画でした。
一度は挑戦してみてもいいかも、もちろん夢の中で。

イーノ 『テイキング・タイガー・マウンテン』

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イーノ『テイキング・タイガー・マウンテン』 1974年リリース

聴いたのは75年の『アナザー・グリーン・ワールド』が先でした。「イーノはいつ聴いてもいいのー」という駄洒落があった頃です。さすがにイーノのことをエノという人はもういなかったと思います。
で、前作の『テイキング・タイガー・マウンテン』もその頃聴いたんですが、この型にはまらない気ままなセンスがよくわからなくて何度か聴いておしまいでした。

ところが78年に素晴らしくヘンテコなディーボの名作『頽廃的美学論』を世に送り出し、イーノのプロデュース業はスゴイ、となるわけです。
余談ですが、勢いに乗ったディーボは早速来日していきなりの武道館公演。かなりのディーボ信者が見物に出向いて館内は「♪We Are Devo!」の大合唱となりました…、いや、ちょっと大袈裟か。

でもまあそんなところで『テイキング…』を引っ張り出してまた聴きはじめて。そしたらなんということでしょう、イーノのエッセンスがそこらじゅうに散らばってる大変ユニークなアルバムであった、ということがやっと少しはわかるようになった次第です。

この一風変わったアルバムタイトルは(知ったかぶりですが)、中国の古典劇『智取威虎山(ちしゅいこざん)』から頂戴したという。なのでオリエンタルムードがチラホラ。『タイガー・マウンテン』という入山したら最後、二度と帰ってこれないような空想冒険活劇的な響きも実にイーノっぽいですね。
ジャケットデザインも秀逸。アナログ盤だと雰囲気あるんですが、地図に載ってない国の妖しい土産物みたい。並んだイーノの顔で駒を進めるいつまでたってもアガれないボードゲームにもみえる。

中身は不思議な明るさのある奇妙な10曲。
特に狂騒的な「サード・アンクル」が有名でしょうか。フィル・マンザネラの貢献も大きいアルバムですが、初期ロキシーのポップな魅力がまだ残ってるファンタスティックなイーノ。
いつものメンバーに加えてイーノ好みのポーツマス・シンフォニア(楽器が弾けない素人学生で構成したオーケストラ)も参加。
「The True Wheel」の歌詞で「♪We are the 801」って歌ってる。
イーノ、フィルらで結成したアンビエントからヘビメタまで演ってしまうスーパーエキセントリックバンド「801」のイメージはこの頃から出来上がってたんですね。

ラストのタイトルナンバーは次作『アナザー・グリーン・ワールド』の岸辺を望みながら、静かにゆっくりと近づいていく。

篠田昌已・西村卓也 『篠田・西村 DUO』

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『篠田・西村 DUO』、1996年リリース

録音:1987年9月17日(木)
篠田昌已:alto sax
西村卓也:bass

二人だけのライブ。
篠田昌已は「生活向上委員会」や「じゃがたら」などで活躍。
ロック、ジャズ、ファンクからチンドンまで、なんでもござれのサックスプレイヤー。92年、34歳の若さで惜しくも亡くなった。

このライブは87年の録音で、リリースされたのは9年後の96年。
ライブといってもハコではなく野外録音。
場所は群馬県・前橋市の百貨店の前。
地元のスーパーか何かの開店記念のイベントに呼ばれて、ということだったらしい。だからといってやっつけ仕事感は微塵もない。
生前、篠田さんの最も気に入っていた演奏だったらしい。
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全13曲、オールインスト。ジャズというより大衆音楽と呼ぶのが似合う。
はじめて聴いたときは音の良さに驚きました。
多くの曲間が数十秒も空いている。この曲間が空白ではないことが、ボリュームを上げるとわかる。
そこに街の音が聞こえる。
交通整理の笛の音、車の音、小学生がおしゃべりしながら通り過ぎる。
拍手も歓声もない、お客さんはいない。
ジャケットの写真通り、ただ星空に向かって演奏を続ける。
すごく自由な気分を二人は味わっていたんだと思う。

この後に、篠田さんが組んだバンドの名前はコンポステラ(星の原っぱ)という。
星の原っぱなら何時間でも寝っころがっていられる。そんな方におススメです。シュラフそして温かい飲み物を用意して。

荒木一郎 『君に捧げるほろ苦いブルース』

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荒木一郎 『君に捧げるほろ苦いブルース』1975年リリース

ボブ・ディランのノーベル文学賞を聞いて、へぇーそうゆうのもアリなのかって。でも受賞者が知ってる名前ってのはわかりやすくていいですね。いつも知らない人ばかりだし。賛否が多々あるようですが、それらも全部含めての『ボブ・ディラン』ってことでいいのかなと。
授賞式のスピーチ(あるのかな?)がちょっと楽しみですね。

そんなわけであちらがボブ・ディランときたならば、こちらは荒木一郎でどうか。
荒木一郎は日本のボブ・ディランと言われ(誰も言ってないか)、でも日本のSSWの元祖なんて言われてる。
アウトローというかニヒルというか、まわりに媚びることなく我が道を行くというか。荒木さんの本業はなんなのかもわからないけど、異色ということでは寺山修司と似た匂いも。

アルバム『君に捧げるほろ苦いブルース』は全10曲、作詞作曲はすべて荒木一郎。歌謡曲でもないし演歌でもない、ロックでもないしフォークとも違うような荒木一郎の世界。
忌野清志郎、長谷川きよし、原田芳雄ら個性溢れる男たちから人気が高かったこともわかるような気がします。「寒多米利ツイスト」なんて、ちょっと初期の大瀧詠一を彷彿させるような曲も。

アルバムタイトルにもなっている名曲「君に捧げるほろ苦いブルース」は、アリスのヒット曲「帰らざる日々」の元ネタとしても知られる。
「君に捧げる…」の「君」は愛猫のことらしい。

ロキシー・ミュージック 『カントリーライフ』

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ロキシー・ミュージック『カントリーライフ』 1974年リリース。

少し前にマツコさんのTV番組で「今の若い人たちはプレスリーを知らない」という話題があって、誇張はあるにしても「当たらずといえども遠からず」ってところなんだろうなあと思いながら見てました。
…ってことはボブ・ディランもキース・リチャーズもボブ・マーリーも「顔は知ってる」くらいですか。プレスリーのファンでもあるブライアン・フェリーなんて「どちら様でしょう?」てなもんですね。

『ま、しょうがないよ、音楽を聴く環境が昔とまるで違うんだし、そんなもんだよ、だいたい目新しい音楽は70年代までで出尽くしたって説もあってね(中略)、ほらあの頃は新譜情報はいち早くラジオで、チューニング合わせて、アンテナの向きはこうで(以下略)』、なんて聞こえてきそう。

まあそんな世ではありますが、久しぶりにロキシーの4作目『カントリーライフ』を聴きました。物議を醸したオーモーレツなジャケットだけど、デビューから出来上がっていたロキシーのヴィジュアル戦略はブレがない。

ファンキーでバラエティに富む、どこか余裕も感じる10曲。
ハードなオープニング「The Thrill of It All」からロキシー色満開。
3曲目の「All I Want Is You」の残響を残しつつ「Out of the Blue」が後方から近づいてくるような、このシームレスに流れるカッコよさは最高にシビれる場面。当時は大きいヘッドフォンでボリュームMAX、このつなぎを聴くのも楽しみの一つでした。
この頃のアルバムを聴くと、ロキシーのドラムはやっぱりポール・トンプソンに一票、と改めて思ったり。

ラストは泥臭いノリがかっこええロキシー流カントリーロック「Prairie Rose」でなぜか遥か遠くの地"TEXAS"を歌い、ロキシーにしては妙に明るくノリノリな終わり方をする。
この頃フェリーと売れっ子モデルのジェリー・ホールはどのくらい接近していたのかわからないけど、もともとジェリーはテキサス出身のカントリーガール。ってことは『カントリーライフ』ってFerryからJerryへの熱いラブコールだったのかなと、そんな風にも聴こえます。

で、この後の恋の行方は…、たぶんあちこちで100万回くらい語られているのでもういいですね。みなさん恋多き人たちなのでした。

XTC『スカイラーキング』

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XTC『スカイラーキング』 1986年リリース。
プロデュース:トッド・ラングレン

それほど熱心に聴いてませんでしたが、最近ますます好きになったアルバムです。
きっかけは、2011年出版の「トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代」(ポール・マイヤーズ著)という400ページもある読み物。
全部を読み切れませんが、その中で20ページほど『スカイラーキング』の「すったもんだ」について書いてあります。XTC側の証言も交えた記録で、これを読んで今さらながら『スカイラーキング』が面白くなりました。

  ☆    ☆    ☆    ☆    ☆    ☆

所属のヴァージンレーベル重鎮から、下降線をたどるXTCへの指令。
「有能なアメリカ人プロデューサーを用意するから売れるアルバムを作れ。それが嫌ならお払い箱だ。」 

ヴァージンは早速プロデューサーの候補者リストを提示する。それはアメリカのヒットチャート請負人のような人選。アンディ・パートリッジも流石にその辺はよくわかっていて返事はNO。
しかしヴァージンはさらに上手で、新たな候補者を提示する。そのリストの一番下にトッド・ラングレンの名があった。

グレゴリーは大のトッドファン。パートリッジとモールディングは乗り気じゃなかったが、ほかに代案もない。そうするしか道はなかった。
トッドの方も、XTCは回りのスタッフを消耗させるやっかいなバンドであるという評判を聞いていたが、いち早く予算を気にするヴァージンサイドに、日当・宿泊費等すべて込みのギャラ総額を提示する。
こうしてプロジェクトはスタートした。

XTCは必要以上のデモを制作してトッドに送付。
トッドはその中から気に入った曲を選び、そして並び替える。トッドは雑多な曲の集まりから見事なコンセプトアルバムを仕立て上げた。
モールディングが「ぼくの曲が5曲も入ってるぞ」と驚く。それは同時に主導権はもうパートリッジにないことを示していた…。

このあともあれやこれやの難問続出。お互いを認めながらも激しくぶつかり合う。ストレスはたまる一方。それでもあらゆる困難を乗り越え、遂に傑作『スカイラーキング』は完成、絶賛を浴びる。

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涼しげな虫の音ではじまる『スカイラーキング』。トッドはテープを節約するという名目で、アルバムの曲順通りに演奏させたという。
パートリッジ『ちょっとおかしいんじゃないか、テープで編集するんじゃないの?』
トッド『いやいやいや、きみたちは「Summer's Cauldron」が終わったら、その場で楽器の音をピタッと止めてくれ。そしたら「Grass」のあたまで全部の楽器をパンチインするから』
具体的にどんな作業をやってるのかよくわからないけど、仕事を合理的に早く進める雰囲気はわかる。
なにしろトッドは魔法使い。忍耐力は無いらしいけど。
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